愛は要らないから…
第14章 俺のもの
「っ!待って!」
俺が目を開けるともう外は明るくて
目線の先にはよそ行きの格好をして、俺に背を向けて
消え去るだろう人を必死にそうはさせまいと
飛び上がるように起きて必死に抱きついた
「秋?……俺だって大学ちゃんと…」「やだ…一人にしないで」
何故か
あの人と重なった
大和も静也のように居なくなってしまう…
そんなわけ無いのに
「ここは俺の家だぞ?帰ってるくるに決まってるから」
俺だって分かってる
でも…どうしてもこの腕を離せなかった
「もうお昼になる。秋こそ、行かなくていいのか?」
「行きたくない…」
昨日あんなことがあって
顔も会わしたくないし、ほんの少しだけ…恐い
「まあ、別に一日くらい良いけど
三年生だし結局後から行くことになるんなら、早いうちにいっといた方が楽だぞ」
「なんで…。
いつもは大和の方が俺の事引き留めるくせに…」
「そうだな…」
二人はそのまま黙りこんで固まったまま。
頭で分かってても、大和も困ってるって思っても
どうしようもないくらい理性がきかない
「ごめん…」