愛は要らないから…
第6章 叶わぬ恋
逃げたい
この場から、この状況から逃げたい…
やっと会えたこと
普通なら喜べるはずなのに
これまでの努力が水の泡だし
少し先の未来はどうせ別れるって事ばかり頭に過る
正直頭がパンクしそうだ
「た…ただいま……」
「……うん…」
「…………………」
「…………………」
「……とりあえず、座る?…」
「うん……」
俺は静也の顔も見れず、そっけない返事ばかり返す
逆に次は腕を優しく掴まれて
ベンチに二人で腰掛けた
「あ!この前家に来たんだって?楽しそうに話してたよ」
「……そっか…」
また、俺はうつむいたまま
たった一言だけ声にした
何を話せばいいか分からない
話してもいいのかさえ分からない
ただ、成すがまま
時間が過ぎるのをひたすら待っている状態だ
「元気だった?」
「うん…」
「そっか、良かった…」
「……………」
「……………」
「なんで?」
「え?」
「なんでいんの?今日あっちに戻るんちゃったん?」
俺は更に顔を背けながら言った
「知ってたんだ、帰る日」
「……りなちゃんから聞いた…」
「空港には行ったんだけど色々あって…あはは、は…
仕方なく戻ろうとしたんだけど、せっかくだから行きたいのに行ってないとこ今のうちに行こうと思って
そしたら…」