愛は要らないから…
第7章 求める場所は、
「……え、秋…?」
コツンと足音が近づくと
俺の名前を呼ばれる
「えへへ…来ちゃった……」
俺は家には帰れずに
兄の、大和のマンションに気付くと足を運んでいた
鍵は持ってないから
玄関の前に足を抱えて座って帰ってくるのを待っていた
「とりあえず中入り?」
「うん…」
なにも聞かず優しい口調でそう言ってくれた
多分、なんでここに居るかなんとなく分かってるんだと思う
だから余計にその優しさが胸に染み渡る
「ぅあっ…」
鍵を開けもらって中に入ると
突然大和は俺に抱きついてくる
「無理に笑わんでいいから」
「……さすが兄弟…」
甘えて俺からも背中に手を回して抱きあった
落ち着く…
こうしてる間は本当に嫌なことも余計なことも忘れられる…