
愛のカタチ
第1章 ON~社会人×大学生~交わる心編~
俺には好きな人が居る。
その人はまあ可愛くて、少し不思議。
そのくせ凄く普通の人。
周りに言うと引かれちゃうと思うけど、大好きなんだ。
だから俺はつい意地悪をしたくなる。
あの人の前では口も悪くてぶっきらぼうで、少しも可愛いげが無い。
だけどあの人はそんな俺をいつもニコニコと見ててくれる。
いつも笑って、俺を受け止めてくれるんだ。
和「おーのさーん」
智「ん?」
今日も見つけた、俺の会いたい人。
智「ふふ、和」
和「なんで笑うの」
智「なんかしっぽが見えた気がして」
俺が犬に見えるんだと。
尻尾をぶんぶん振って駆け寄る豆芝みたいだと前に言われた。
和「犬じゃねえよっ」
バシッと大野さんの肩をつい叩いてしまう。
結構力入っちゃうのもいつもの事。
智「ふふ、ごめんって」
ね、怒らないでしょ?
和「また画材屋さんに行くの?」
智「ん。お気に入りの黒が無くなっちゃったんだよね」
和「んじゃついてってあげる。どうせ暇なんでしょ?」
また子憎たらしい口を叩いてしまった。
智「どうせってなんだよ(笑)」
だけど連れてってくれるんでしょ?
だっていつもの笑顔で俺を見てくれる。
智「それはそうと大学は? まだ授業あるでしょ?」
和「息抜きだよ。単位も取れてるし問題無い」
大野さんは大学の先輩だ。
この春卒業してなんかよく分かんないけど、絵の仕事をしてる。
智「んじゃとっとと買い物して大学に戻ろう」
和「ええ~」
つれないんだよな。こういうとこ。
だけどゴネたら絶対俺が勝つんだ。
それも知ってる。
和「息抜きだって言ってんじゃん。もうちょっといいでしょ?」
智「だけどさ」
和「だけどもクソも無いよ。もお、今の一言で俺やる気無くしちゃった」
智「え」
困らせてごめんね?
でも、甘えさせてくれるんだよね?
だって俺、貴方から離れたくない。
