
愛のカタチ
第2章 NO~サラリーマン×花屋~天使みつけた編~
智「ありがと」
和「うん」
結局俺は、再び智を家に連れて帰った。
抱き締めて背を摩ってやると、智は俺の胸の中で“あったかい”と言ったんだ。
ふぅ、と小さな息を吐き、俺に身を任せてクスッと笑った。
タオルよりあったかいよと、笑ったんだ。
それでもまだ足に力が入らなかったから、ゆっくりと智を支え家まで歩いた。
その道中で、ごめん、ごめんと呟く様に話しながら。
和「ちゃんと温まった?」
智「うん。服も、ありがとね」
濡れた服でまた冷えてしまった智を、シャワーに促した。
着替えを渡しておくから、それを着ろと言って。
和「ココア飲める?」
智「うん」
暖かいココアを出してやると、智は両手を添えて熱そうにココアを啜った。
和「取り敢えず今日は、家に泊まって」
智「でも...」
和「鍵、本当は無いんだろ?」
智「...」
持っていたココアを見つめ、智は口を閉ざす。
和「何もしないよ...」
智「そんなの、わかってる」
コトンとカップを置いて、智は話す。
智「そんな顔してるのに、もうしないでしょ?(笑)」
和「うん、しない」
智は俺をチラッと見て、笑いながら話した。
その智の笑顔が嬉しかったのと、俺の決意を信じて欲しくてすぐさま返答をした。
智「ふふっ」
その笑顔は、初めて智を見た時の笑顔で。
智「じゃあ、今日だけ泊めてもらおうかな...」
多分店に鍵を忘れたんだと言う智は、1晩だけど俺の家に泊まってくれると言った。
俺の前から消えてしまった智が、再び。
もう、姿を見せないんじゃないかと思った智がもう一度。
俺の前で、笑ったんだ。
