天然執事はいかがです?
第15章 パーティー
「お前を私の仕事に連れていくのは止めだ」
ニッと父さんは少年みたいに笑った。
「お前を半年も連れていったら、今度こそ菜月に大泣きされるからな。家出されるかもしれないし」
「なっ…泣かないしッ!!
家出もしないよッ!!!
てゆーか今なんて…」
「旦那様!?一体…」
アルトさんも戸惑いを隠せない。
「アルト、菜月を幸せに出来るか?」
「……はいッ」
「そうか」
父さんは肩の荷が下りたように笑った。
「お前の目はいい目をしている。若い頃の私にそっくりだ」
「私はあなたよりいい目をしていると思うわ♪」
「美子!?」
「冗談よ♪」
「あの、さ……つまりどうゆうこと?」
私とアルトさんは全く意味がわからず、顔を見合わせてばかりだ。
「つまりだ。アルトに私の企業を継がせたい。アルト、菜月と婚約してくれないか?」
「「えぇッ!?」」
「あら、二人ともイヤなの?」
母の言葉に、菜月とアルトは同時に物凄い勢いで首を横に振った。
「ですが私のような者が…!!」
「お前は立派な人間だよ、アルト。使用人だからと言い訳はせずにいい」
「はい…!!」
「菜月、アルトと幸せになりなさい」
初めて父さんの優しい笑顔を見た気がする。
「勿論だよッ!!」
ずっとアルトさんと居られる…!!