天然執事はいかがです?
第1章 プロローグ
10歳年上の姉さんが結婚したのは、私が小学六年生の時だった。
お相手はなんと一般の会社員さんで、初め、父さんは大激怒していた。
そりゃ、大企業の社長のお嬢様だったからね。
暢気な母さんは、あらぁ、恋愛から結婚なんていいじゃな~い♪お見合いなんて私も嫌だったもの~、なんて言って賛成した。
母さんと父さんは恋愛で結婚したみたいだからね。
「お姉ちゃん、お父さん怒ってたよ?
それでもあの人の所に行くの?」
「そうだよ?私はね、本気であの人が好きなの。
大好きで、大好きで、大好きで……
この世に代わりが居ないくらい大好きなの……
私はあの人に恋をしたのよ」
「恋?」
私は頬を桜色に染める、姉さんに聞き返した。
あんなナヨナヨしたマッチ棒みたいな人に恋したの?
なんてさすがに言わなかったけどね。
でも姉さんの結婚相手は、ホントにマッチ棒みたいで、雪みたいに白い肌の美少年だった。
「菜月もその内、恋するわよ」
「ふぅ~ん……」
それから数年の月日が経った。