天然執事はいかがです?
第6章 価値と気持ち
私は頬を膨らませ、助手席に乗った。
「なんだよ…アルトさんまで笑うなんてさ……」
「………」
アルトさんは私の頬に手をあてた。
「……ッ」
まじまじと顔を見つめられ、恥ずかしくて体温が急激に上がってくる。
「…泣いたのですか」
アルトさんはすごく悲しそうな顔でそう言った。
「ちょっとだけね…」
私は自然と下を見ていた。
アルトさんの視線が痛いほど刺さる。
「私のせい、ですか……」
「そんなこと……」
言葉が続かなかった。
「今朝は申し訳ありませんでした……あのようなひどい言い方をしてしまい……」
アルトさんは目を伏せ、すごく悲しそうな顔をした。
「…ううん、無神経に訊いた私も悪かったんだよ」
「ですがっ」
私はアルトさんの口を無意識に手で押さえていた。
「もうこの話は終わりッ!!
だからそんな悲しい顔しない!!今から気持ち切り替えよう!!」
私はニカッて笑って見せた。
私はアルトさんの口から手を離した。
「そうですね…分かりました!!」
アルトさんもいつもの笑顔で笑ってくれた。