
天然執事はいかがです?
第8章 父からの手紙
11月の入ったある日。
父さんから一枚の手紙が私と母さん宛に来た。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「うん。ただいま。
母さんは?」
「出掛けております」
また花屋かな…
どうせ橘さん家の諒兄のとこだろう。
母さんは若いイケメンが好きだ。
それでも結局一番好きなのは父さんなんだけど。
「お嬢様」
「ん?なにこれ」
アルトさんが差し出した手紙を受け取った。
父さんからだ…
私と母さん宛だけど、母さんいないし先に見よーっと。
私は部屋への階段を上りながら、内容を見た。
「お嬢様、危ないですよッ
行儀も悪いです」
「うん………」
私は適当に返事をした。
そしてある言葉に目が止まる。
……嘘でしょ?
同時に下の階から母さんが帰宅を告げる声がする。
「母さんッ!!!」
私は来た道を急いで戻り、母さんの元へ駆け寄った。
後ろから慌ただしくアルトさんが追いかけてくる音がする。
