
天然執事はいかがです?
第8章 父からの手紙
「あら、菜月。走っちゃ危ないわよ?それより見てみて!!
諒ちゃんからお花貰って……」
「母さん、これッ!!!」
私は母さんの言葉を遮り、手紙を見せた。
「お父さんから?」
「うん…」
母さんは花束をアルトさんに渡し、手紙を見た。
「え…菜月を婚約させるですって?しかも貴女の誕生パーティーに…?」
「ヤダよ…婚約なんて……」
父さんはいっつもだ…
家に居ないくせに、勝手に色々決めてしまう……
《11月の5日か6日に帰る。
7日に婿養子となる婚約者を紹介する。婚約披露宴は菜月の誕生パーティーの16日に行う》
「クソ親父…」
手紙の内容を思いだし、私の口からは憎しみの言葉が溢れた。
「お嬢様……」
「菜月…気持ちは分かるけど、そういう言葉は使わないで?
お父さんは貴女を心配しているの。
加奈子みたいに良家から居なくならないかって……」
姉さん…
「けどこれは私の人生だよ…?
なんで…なんで父さんに決められなくちゃならないのさッ!!!」
私はそう吐き捨てると部屋に駆け込んだ。
母さんとアルトさんの声も振りきって。
私は部屋に入り、鍵を掛けた。
このままだといろんな人に怒りをぶつけかねないと思ったから。
