
天然執事はいかがです?
第9章 縁談前日
「ねぇ舞弥。ホントにどうしよう……」
《アルトさんに告れば?》
「なっ…!!ばっ…か!!
簡単に言うなしッ!!!!」
《ハイハイ。冗談ですよ!!冗談!!デッカイ声で叫ばないでよ!!耳が痛くなるでしょ!!》
「ごめん…でもアルトさんに告るとか今んとこ絶対無理!!」
《……なんで?》
すっとんきょうなこと言う舞弥に私は頭が痛くなる。
「じゃあ訊くよ?私が今アルトさんに告れると思う?」
《ああ、無理だね。絶対》
コイツ言い切りやがった。
「舞弥に相談したのが間違いだった。バイバイ」
《ちょー!!待った待った!!たんま!!!ちょいたんまーーー!!私が悪かったーーーー!!!》
「はいはい……」
おもしろいヤツ。
「とりあえずさ、今年もちゃんと誕生パーティー来るよね?」
《もっちろん♪滅多に食べられない美味しいもの食べられるんだから♪》
舞弥は、私より食べ物が優先か。
それは置いといて、アルトさんに告るったって心の準備がこれっぽっちも出来ていない。
それどころか、婚約の話を断れるかさえ分からない。
あの父さんのことだ。
なにがなんでもあの手この手を使って、私に婚約させようとするに違いない。
私は舞弥との電話を切り、寝るまで悩み続けた。
朝が来るのは早かった。
