天然執事はいかがです?
第10章 縁談当日
「お嬢様。起きてくださいお嬢様。朝ですよ?」
「うん…」
「わぁっ!!」
布団から顔を出した私の顔を見てアルトさんは驚いた。
「そのお顔はどうされたのですか!?」
どうせクマだろう……
そんなに驚かなくても……
「うん…ちょっと眠れなくてね……ふぁ~あ」
まぬけなあくびをして私は伸びをした。
昨日は眠れず、私が眠りに落ちたのは日付が変わってからだった。
とりあえず、顔を洗いに洗面所に行く。
「………え。ダレコレ?」
私は鏡に問いかけた。
当然返事など返ってこない。
だがその鏡に映る顔はすごくひどいものであった。
「今日は仮婚約者に会うのに……」
この顔は、ヤバい。
隈がヤバすぎる。
どうやら今回飼育してしまった猛獣は今まででトップクラスのようだ。
私は急いで部屋に戻り、アルトさんに助けを求めた。
「アルトさん、どうしよぉぉ~~!!」
「ああ…見てこられたのですね……」
アルトさんの顔はひきつってた。
「お待ちください。冷たい濡らしタオルと蒸しタオルをお持ちいたしますので」
そういうとアルトさんは部屋から消えた。