天然執事はいかがです?
第1章 プロローグ
「お嬢様!?どうなされたのですか!?」
家を出てから一分で帰ってきた菜月に、次の仕事をしようとしていた藤原老人は驚いた。
「チャリの鍵置いてきたッ!!」
簡潔に用件をいいながら、彼女は自室へ疾走していった。
驚きのあまり何度も瞬きをするメイドは、近くの藤原老人に声を掛けた。
「藤原さん…菜月お嬢様っていつもすごい御方ですよね……」
「えぇ……
もう少し上品な教養をさせなければいけませぬな…
だんだん男児のように成長してきていますからな……」
そうこうしていると、風のように話の主が帰ってきた。
一同がその早さにびくつく。
「爺や、行ってくる!!」
自転車の鍵を持った手をあげ、菜月は今度こそ学校へと向かった。
「行ってらっしゃいませ、お嬢様」
爺やは笑顔で、遠くなってしまった菜月の背中に声を掛けたのだった。
これが篠原家の次女、篠原 菜月という男勝りなお嬢様である。