天然執事はいかがです?
第11章 不安と準備
俺は有也さんが持ってきたおにぎりを口にした。
「アルト」
「はい?」
「お前菜月嬢が好きか?」
「ゲホッ!!」
俺は激しくむせてしまった。
「い、一体何を…!!」
「いや、思ったことを口にしただけ♪」
有也さんはニカッと白い歯を見せた。
爽やかな雰囲気がより一層増す。
「藤原さんから訊いたんだけどさ……」
「?」
「お前もう少し自分の気持ち表に出しな?」
有也さんの真剣な表情に、俺は食べかけのおにぎりを皿に戻した。
「そうは言いますけど…自分の気持ちを表に出したら……
他の人に迷惑かけたりしないかなって……」
「出さなきゃ迷惑かどーかなんてわかんねーだろ?」
有也さんはテーブルに頬杖をついた。
俺が他人を遠ざけ、遠慮し始めたのは小4の時だった――………