天然執事はいかがです?
第13章 雷雨の土曜日
「雨だ……しかも風強ッ!!」
《秋の雨かねー♪》
「明日には止むかな?」
《さぁ~?》
舞弥は興味無さそうにそう言った。
《そういえばさ。今年も踊りあるわけ?》
「うん…父さんが"これは毎年恒例だぁぁ!!!"なんて言っちゃってさぁ……」
《じゃあ今年は俊介連れてっていい?》
「俊くん?なんで?また私とサボればいいじゃん?」
《どうせ菜月のパパさんのことだもん。さすがに今年はおサボり禁止でしょ。
なら、知らない男と踊るより彼氏と踊りたい♪》
「あっそ…」
俊くんは私達の中学の後輩で、今は同じ高校の一年生。
普段は読書が好きで大人しい子だけど、ヒップホップのダンスになると顔つきが変わる。
そのダンスは誰もが魅了されてしまうほど。
だからモテるけど女の子慣れしてないから全て断ってしまう。
そんな俊くんに幼なじみの舞弥は好きだと気づき、猛アタック。
「俊くん色んなダンス習ってるもんね~」
《うん!!優しくエスコートしてもらお♪》
「はいはい……じゃあ私はまたバルコニーに隠れてますか…」
《なんで?踊れば?》
「誰とさ?」
《勿論アルトさん♪》
「却下」
《えぇ~?》
舞弥がそう言ったとき、一瞬空が瞬いた。
え…?
思ったときにはもう私が大嫌いなものが落ちていた。
「ッッ!!!」
《キャアッ!!!菜月大丈……》
ブツリと電話が切れた。
混乱する脳の片隅で落ち着いて考えてみる。
光が落ちてすぐに雷が落ちた。
なら近くに落ちたんだよね…
電線が…切れた?
そうとしか考えられなかった。