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第11章 かわいいひと〜母ちゃんの入院〜



「ラーメンでも食いに行くか?」

先生が言う。

まだ俺に付き合ってくれるつもりなんだろう。

「いいの?先生。」

「いいよ。」

ニッと笑って歩きだした先生の後を追う。

ふたりで食べたラーメンはすげぇ美味くて。
奢ってもらってお礼を言ってアパートへ戻る道を歩く。

「月がキレイだなー。」

先生は夜空を見上げながら歩く。

アパートへ着いて先に階段を昇る先生は振り返り俺を見て言った。

「相葉?寝間着持ってこいよ。」

「…へ?」

「泊まれば?俺んち。」

……

「いーの?」

「いーよ!」

またニッと笑った先生。

まばたきを忘れた俺は目が乾いたからじゃなくて、ぶわっと涙が込み上がるのがわかって慌てて俯く。

「内緒なっ。」

「あ…うん!わかってる!
先生、先に行ってて!取ってくる!」

「うん。慌てんなよ。」

先生は3階へ。

先生…

ぼんやりしてしまった俺は、ふふ、って笑ってドタバタと部屋に入る。

制服を脱いで適当に部屋着に着替えて。

バッグにスゥエットと歯ブラシと突っ込んでサンダルを履いて玄関を閉める。

もう一度開けてガスの元栓をチェックして電気も消したのを確認して改めて鍵を閉めた。

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