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甘い香りを私に。

第1章 その甘さ


そう、叫びたかったのに

叫ばなかったのはきっと罪悪感。

これは仕方の無いこと

私のせいじゃないの。


そんなふうに自分の心を閉ざした。


もうなんでもいい

とにかく目の前の愛に満たされたかった。

葵「悠ちゃん…もっと…もっとして…」


声に出ていた。

待ってましたと言わんばかりに悠は下着に手をかけてゆっくりとおろした。


初めてではないが経験は少ない。

この行為はやはり慣れない。

どうしても顔を隠してしまう。

自分からすがったくせに

私は何がしたいんだろうと思わず情けなく感じて泣きそうになった。

悠「…葵。怖いの?」

葵「怖くないよ。」

悠「恥ずかしいの?」

葵「恥ずかしいよ。」

悠「じゃあさ、コレ見て。」


そう言ってカーテンの後ろから何かを取り出した。


ま、まさかローション…

そう思ったが全くそうではなくて、


悠「これ、なんだと思う?」


葵「……ち、チョコレート?」


ラズベリー味のチョコレートだった。

悠は甘いものは好きじゃない筈。


悠「葵好きでしょ。良く食べてた。」

いつものお礼だよ、なんて言いながら

微笑みながらゆっくりチョコレートの箱を開ける。




なんだか異様な空気に包まれた気がした。



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