
浮気性のカノジョ
第5章 早瀬琉生
今日はなんとなく彰に顔を合わせづらくて、忘れた課題を学校でやるからと、彰よりも先に登校した。とはいっても課題なんてものは嘘でやることもなく、ぼんやりと窓の外のグラウンドを眺めていた。
「琉生くぅーん!」
「あ、おはよう花咲さん」
「名前覚えてくれてたんだぁ!嬉しい~っ」
「当たり前だよ。隣の席なのに、変なの」
「や、やだあたしったら……」
なにあれ。と思いながら生徒の登校姿を見ていたら、昨日の早瀬琉生だった。昨日のように楽しそうな、人を弄ぶような顔はしていなくて、どちらかと言えばほんわかとしていた。あれがあいつの本性だったのかあ、とちらっと目をやると、視線が合った。
「っ…!」
びっくりして動けないでいると、彼の口角が少し上がったのが見えた。相も変わらず目は笑っていない。…怖い。彼がわからない。
「……掴めない人」
少し震える手を抑えながら、何もかも忘れるようにやる気もなく広げていた参考書にペンを走らせた。
「琉生くぅーん!」
「あ、おはよう花咲さん」
「名前覚えてくれてたんだぁ!嬉しい~っ」
「当たり前だよ。隣の席なのに、変なの」
「や、やだあたしったら……」
なにあれ。と思いながら生徒の登校姿を見ていたら、昨日の早瀬琉生だった。昨日のように楽しそうな、人を弄ぶような顔はしていなくて、どちらかと言えばほんわかとしていた。あれがあいつの本性だったのかあ、とちらっと目をやると、視線が合った。
「っ…!」
びっくりして動けないでいると、彼の口角が少し上がったのが見えた。相も変わらず目は笑っていない。…怖い。彼がわからない。
「……掴めない人」
少し震える手を抑えながら、何もかも忘れるようにやる気もなく広げていた参考書にペンを走らせた。
