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飴と鞭と甘いワナ

第5章 scene Ⅴ

N side

電車の揺れを利用して
雅紀に身を任せるように寄りかかった。

さりげなくを装ってるけど、俺に回されたその指に力が入ってるのが分かるから

思わず笑いが込み上げてきた。

「何…?」
少しだけ上擦った雅紀の声に

「無理すんなって」
押し殺した笑いが、本格的になったじゃないか。


もしかして、俺をエスコートしようとしてる?

ホント雅紀って単純と言うか何と言うか
…だから、憎めないんだよ。


「その服」
「え?」

「…似合ってるよ」
わざと上目遣いに雅紀を見れば、慌てたように目を逸らす。

今、俺が着てるのと同じブランド。
とは言っても俺と雅紀じゃ、全然イメージが違うからパッと見は分からないけどね?

…実はシャツの飾りボタン、お揃いだったりする。
雅紀にはナイショだけど。


「…請求書付きで送り付けたくせに」
" 俺の生活費奪う気か "

雅紀が唇を尖らせたから

ああ、あれね

「半分出してあげたから」
" だから後半分は俺に返してね❤"

❤マークを付けて微笑んであげた

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