飴と鞭と甘いワナ
第5章 scene Ⅴ
こう云う変な雰囲気な時は静かな店より騒がしい店で話すのが間が持つ、これ俺の持論。
だからとにかく気忙しく地下街を行き交う人の流れを縫って歩く。
あ、勿論ニノを引っ張ったまま。
さっき振り払われたけど、すかさず手首掴んで。
そのまま有無を言わさず引いて歩いた。
「……何処行くんだよ」
後ろで不貞腐れてブツブツ言ってるニノ。
は?今更
"何処行く?"
そんなコト聞く?
大体行き先不明にプロデュースしたの、オマエだろうが!!
つか、今日はニノからのお誘いだったはずなんじゃないの?
立場逆転してね?
それをどの面下げて
"何処へ…"
…って言いたいのはグッと飲み込んで我慢、我慢。
とりあえず通りの向こうサイドにチラ見えしたフランチャイズのコーヒーショップへと向かうべく方向転換した。
*
ようやく腰を落ち着けたその席で。
ブスッとして。
頬杖ついて。
そっぽ向けるニノ。
ま、いいけど。
ただ忙しく行き交う人の群れに目を向けながら俺は待つだけ。