飴と鞭と甘いワナ
第5章 scene Ⅴ
待てども何も反応しないから。
いい加減喉も渇いてるし。
何も言わないニノは放っておく。
スタンドのお姉さんが
"如何いたします?"
差し出すドリンクメニューを見ながら、ニノをチラと窺っても此方を見もしてないし。
クソーッ!だったら…
「…お待たせ」
トレイに乗っけてたのをニノの前にひとつ置く。
ストローまで指してやる俺ってジェントル。
"スタッフのお勧め"
とか云うののブラックを
蓋を外して口に運ぼうとしたら
「おい、コラ」
カップを持つ手ごとニノに掴まれた。
「ン?」
鼻先だけで反応して
"何?"
目を見遣る。
「何で俺がコレなんだ」
ニノの目の前にドンと置かれたトールサイズのソレは『季節のフレーバー』とか云うマロン…あ、パンプキン?だっけか…ま、どっちでもイイ、その甘ったるいペーストと真っ白ホイップの乗っかった代物。
「俺、甘いの苦手だって…」
「知ってる」
"だから 何?"
見せつける様にコーヒーを意地悪く啜る俺。
ニノも喉がカラカラの筈。
俺を睨む目が…ほら、もう渇きに耐えらンないって。
喉が唾をゴクンと飲んで……