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飴と鞭と甘いワナ

第5章 scene Ⅴ

A side

うわっ

ドアを開ければヤる気漲(みなぎ)るデカいベッド。
その"如何にも"な部屋に立ち尽くすニノ。

「…座れば?」

「あ…うん」

気もそぞろな返事。

居住まい悪げにソファに座ってるけど、居心地悪いのはお互い様。

俺だって馴れたフリしてるだけ。

もう心臓バクバクだし。

とにかく落ち着くのが先。

あんまこんな部屋の高いビール、飲みたかないけど背に腹は替えらンない。

ほら、なんつーのコンビニ寄ってあれこれ調達して"いざ参ろう"ってノリじゃなかったし。

二人して押しつ押されつ、ムキになって…結果、無理くりなこじつけで入っちゃったから。

こうなったらアルコールに任せるしかないじゃん?

あとは野となれ 何とやらだよ。

葛藤やら逡巡やらゴチャってる隙にニノがビールをかっ攫らう。

何が "もーらい!”だ、馬鹿なヤツ。

オマエの処女貰っちまおうってヤツに向かって何が "もーらい!"だ。

阿呆かっ!貰われンのはオマエだっつーの!

どんな窮地に立たされてンのか分かってる?

もう何が起ころうと

どんな関係になっても

……………知らねーかんな。

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