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飴と鞭と甘いワナ

第5章 scene Ⅴ

この部屋のドアを開けた時?…ううん、違う。

フロントで嘘八百捏(でっ)ち上げた時?…じゃなくて。

それは多分…さっきの交差点。

赤から青に変わった信号。

横断歩道のゼブラ模様を踏んだ時…こうなるって決まったんだ、きっと。

*

"ストレート"
てか
"ノーマル"

女子としか経験ないだろうニノと。

"似非(えせ)バイ"
を語る
"八割九分ゲイ"

男のが相性イケちゃう俺と。

どっちのポジション?

タチ?ネコ?

抱くの?抱かれたいの?

その前に

犯ンの?犯らないの?

どっち!?

*

「明るいのはヤダ」

唐突に切り込んできた言葉にスる気なんだって思った。

"好きにしな"
ニノを見るとすかさず真っ暗。

ドアの上、小さな『非常口』の緑色が鮮やかに思えるほど。

「…………怖くない?」

暗闇?俺?

どっちとも取れる問いかけにニノはダンマリ。

ニノのシルエットへ見当をつけて伸ばした手に肘がぶつかった。

指先に当たった骨の固い感触が俺の雄イッチを半押しする。

一気にグィと二の腕を掴んで引き寄せれば…距離がゼロになった。

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