飴と鞭と甘いワナ
第5章 scene Ⅴ
ちゃぷん、と雅紀が指でお湯をかき混ぜた
信じられない、って顔してる
…いや、普通感付かないかな?
俺、結構アピールはしてたんだけどな
本気で遊ばれてると思ってたわけ?
片手だったのを両手にして、雅紀の頬を押さえ込む
そして
「…愛してる、雅紀」
きっと今、俺の顔も真っ赤だろうな
だって凄く、顔が熱いもん
「にの…」
見開いた目をした雅紀に顔を寄せる
そしてもう一度
「愛してる…」
雅紀の唇に、自分のそれをそっと重ね合わせた
触れるだけで離す唇
わざとリップ音を立ててみた
「にの、俺……」
「ん?」
「逆上せそう…」
恥ずかしいだけじゃない、赤い顔
「ご…ごめん!早く上がろ!?」
雅紀のヤバい様子に慌てて、俺よりでかい体を引っ張り上げた
軽く水気を取るだけで、何とか支えながらベッドに運ぶ
「大丈夫…?」
「うん、…ごめん」
額に冷たいタオルを乗せてやると、雅紀は気持ち良さそうに目を閉じた
ベッドサイドに腰掛けて、雅紀を見つめる
「ねぇ、にの」
「なに?」
「さっきの……」