飴と鞭と甘いワナ
第5章 scene Ⅴ
額に乗せたタオルを外した雅紀が上半身を起こした
「にの…、信じていい?」
「…信じろよ」
ー…しつこいな、コイツ
まあ、そこまで疑われる行動してたのは俺か(笑)
「嘘じゃないよ、本当に雅紀が好き」
にっこり笑って雅紀を見つめる
「…その笑顔が怖い」
「お前、失礼だな」
つい、目付きが悪くなった
「にのの、日頃の行いだよ」
今度は雅紀が笑った
そしたらお互いで吹き出して
何だかやけに楽しくなってきて
二人で腹を抱えて笑った
ひとしきり笑ってから、笑いすぎて目尻に溜まった涙をそれぞれ拭ってから
「俺も、にのが好き、…大好き」
雅紀が、ふいに真面目な顔をした
「雅紀…」
「平気で嘘つくし、LINEシカトするし、いきなり襲うし…」
「おい」
「…でも、髪切って貰うときは凄く優しくて
たまに見せる可愛いとこが、好き」
ー…ヤメロ
マジで恥ずかしい
でも、嬉しい…かも
だってようやく、気持ちが繋がったんだよね?
「雅紀…?」
「へへ…何か俺もスッゴく恥ずかしい」
雅紀が照れたように頭を掻いた