飴と鞭と甘いワナ
第11章 3匙め
「相葉さん…」
まさか、と言う気持ちと
やっぱり、と言う気持ちが混ざりあう
「良かった、すぐ見つかった」
“見つかんなかったらどうしようかと思った“
バイクを路肩に止めた相葉さんが、ホッとしたような顔をしながら小さく手を振った
ゆっくり近付いてくる姿を目に映しながら
何でここまで追いかけて来たのか
どうして今も、そうやって微笑んでくれるのか
そして
何で俺は今、相葉さんを見て泣きそうになってるのか
色んな気持ちが頭の中で複雑に絡まっていて
何も言えないまま、ただ相葉さんを見つめていた
「ごめん」
俺の前まで来た相葉さんが唐突に謝った
「え、…何が?」
いきなりの謝罪の意味が分からなくて、思わず聞き返した
「あいつ、二宮さんに失礼な事…」
相葉さんの顔が辛そうに歪む
さっきの彼女の台詞かとすぐに察しは付いた
「俺、男なのにね」
だから “面白い彼女さんだね“ って
…本当はムカついてた心を隠して、笑って見せた
相葉さんにこれ以上迷惑掛けたくなかったから