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飴と鞭と甘いワナ

第11章 3匙め



先週…あんなコトがあってからはお初で二宮さんと顔を合わす男子飯講習日。

生憎午後から雨模様。

「天気予報ちゃんと見るべきだったな」

講習日だと朝から若干浮かれてたのかweather newsをスルーしたのが仇になった。

「あーぁ…バイク」

窓の下に見える駐輪場に愛車がポツンと停まってる。

チャリンコがいつもより少ないのは午後から雨だと早々に予報が出てたってコトなんだろう。

"はぁ…ミスった"
独り言ちたはずが

「ホント、先生らしくないね」

俺の隣でヒョイとカーテンを捲る看護師の櫻井さんに反応され

「センセ、爪噛まない…」

"…不潔だろ"

医者としてあるまじき注意をまで受けて。

その手を慌てて白衣のポケットに突っ込んだ。

*

雨足は酷くなる一方。

就業間近に飛び込んできたのは週に二度は医務室に顔を見せる総務の女子社員。

相変わらず冴えない顔して

「頭痛ぁーい」

甘ったれた声。

"不定愁訴"
そう判断したのは一月半くらい前か。

それ以来の医務室常連…ってのは建て前でその実 櫻井さん狙いだって俺は知ってンだけどな

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