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飴と鞭と甘いワナ

第11章 3匙め


定時を30分超過した頃にようやく女子社員を追い出…じゃなくて、帰宅させるコトに成功。

この30分のロスをどう巻き返すか、頭の中で算段しながらあれこれシュミレートする。

上衣を羽織って、その上に雨対策のあれこれを装着する。

"二宮さんに会える"
逸る気をどうにかしたくて。

でも どうにもならない。

ソワソワしたまんま、一分一秒すら惜しくて駐輪場へ急いだ。

バイクに股がって、とりあえず大野さんへ

"遅れるかもしれません"
メールしてからエンジンキーを捻った。

走り出してからおもってた以上の視界の悪さに辟易する。

しかも帰宅ラッシュな時間帯。

迷ってる間なくさっきシュミレートした手立て中にあった脇道へ入った。

普段、滅多に乗り入れない狭い道。

雨に濡れた路面に対向車のヘッドライトが乱反射する。

"……眩し"
思わず目を眇めた。

その目映さの狭間からヌッと出てきた人影。

ヤバッ ブレア現象か!?

咄嗟にブレーキを握り、ハンドルを切る。

えっ?

車体が有り得ないくらいに傾いて……激しいクラッシュ音と一緒に俺は吹っ飛ばされた。

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