飴と鞭と甘いワナ
第11章 3匙め
N side
「何で俺が行くんですかっ」
何となく気まずいなと思いつつもいつも通りに来た、料理教室
珍しく相葉さんが来てなくて、少しホッとしている反面 “どうしたんだろ“ とも感じていた
大野さんから “遅れるかもって言ってたぞ“ って聞いて
その日は相葉さんが来るまでペアのいない俺に、大野さんが指導の合間に入ってくれたんだ
途中、電話だと抜け出したのは知ってたけど
…その後の大野さんの様子が変なのも気付いてたけど
特に気にはしなかった
相葉さんが来ないまま終わった講習の後
俺は大野さんに呼び止められていた
「だって相葉ちゃんと友達だろ」
大野さんが俺の前に立ち塞がる
「…友達……?」
ではない
知り合い、とも違う
何だろう、相葉さんのポジションって
「病院は聞いたからさ、行ってきてくれよ」
「だから何で俺が…」
「…心配じゃねぇの?」
心配に決まってる
だけどあんな事があった後で
今日までメール1つしてない状態で
…のこのこ病院に行ける程俺は強くない
「俺も後で行くからさ、とりあえず様子だけでも教えてくれよ!な、よろしくっ」
そう言って、ぐいぐい俺の腕を引っ張りだした