飴と鞭と甘いワナ
第11章 3匙め
「自業自得って奴ですね」
重くならないように、わざと笑って見せると
「分かってます」
ぺこ、と頭を下げた相葉さんが一瞬顔を歪めた
「相葉さん…頭は?」
それだけの仕草で痛むって、頭も酷いんじゃないの?
「ああ、こっちは縫っただけ。…動かすとまだ痛いけど平気」
“傷見たい?“ なんてふざけて言うけど
…無理してるの丸わかりだよ
だって包帯のない箇所も、擦り傷やら痣だらけで
左側にそれが集中してる
どう見たって痛いに決まってるじゃないか
「左にハンドル切っちゃったからさ、こっちだけ凄いでしょ」
俺の視線に気付いたのか、相葉さんが困ったように笑った
それから暫くは他愛ない話をして
…疲れさせると悪いからって帰ろうとした時
「二宮さん」
ふいに、相葉さんに呼び止められた
「…何ですか?」
「お願いがあるんだけど」
相葉さんの顔が、少し真顔になっている
「…俺に出来る事なら」
その真剣な瞳に、適当にあしらう事は出来なくて
もう一度体を相葉さんの方に向けると
「入院してる間、10分…いや、5分でいい。
二宮さんの顔、見せて欲しい」
…予想外の、相葉さんからの “お願い“ は
酷く俺を動揺させた