飴と鞭と甘いワナ
第11章 3匙め
A side
目の前の白い天井と消毒液の匂いに此処が病院なのだと否応もなしに知らされ、仰向けに寝てるのが病室のベッドの上だと早々に判断がついた。
身体を捩れば全身に走る激痛に思わず歯を食い縛った。
「……っ痛ってぇ」
身体の妙な不具合に目線を足元へ向けるとモノの見事にギプスで固められた脚が宙吊りになってて
「…あ」
事故ったコトを急に思い出した。
ナースコールをどうにか手繰って。
しばらくして顔を見せた年配の医者とこれまた真逆の新人不馴れが前面に押し出されてる小柄な看護師が代わる代わるに状況を説明してくれた。
「……手荷物は枕頭台に置いておきましたから」
ザックリと術後診察が終わった後、看護師がベッドの脇を指差した。
「着られてた服は…」
「あぁ…処分して頂いて結構です」
処置の時にどうせ切られてるンだ、返却されたとしても使い様がない。
"何かあれば…"
ナースコールに目をやりながら一礼する彼女に会釈し ようやくまた一人になった。
フゥと溜め息一つ。
頭の中をゆっくり整理しようと目を閉じた。