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飴と鞭と甘いワナ

第11章 3匙め


N side

「どういうコトなんです?」

相葉さんの病室を訪れて
開口一番に出たのは、この言葉だった

怪我人を責めるのもどうかとも思ったけど
突然連絡が取れなくなった事への焦りと怒りがそれに勝ってしまった


見舞いに行った翌日
出張予定だった同僚が身内の不幸で行かれなくなり、急遽身軽な俺が代理で行く事が決まった

1週間だし…と思ったけど、前日の相葉さんのお願いに返事をしなかったのもあったから
行きたくても行かれない、と伝えたかったのに

メールも通話も何度試しても繋がらないから

出張帰りに直接ここに走って来た



だけど病室に来たら相葉さん普通にしてるしで

テーブルに置かれたスマホが目に入った瞬間にカッとなってしまったんだ



「…もう、来ないと思った」
相葉さんが驚いた顔を向けている

「俺、行かないって言いましたっけ?」

「だって…返事なかったし…」
ふ、と俺から目を逸らして、スマホを手に取った


「…連絡したくても、繋がらなくしたのは相葉さんですけど」

元気がない、とは思ったけど
言わずにはいられなかった

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