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飴と鞭と甘いワナ

第11章 3匙め



「申し訳ないけど、面会時間終わってますから…」

看護師に声を掛けられ、それ以上話す事は出来なかった

「あ、すいません。今帰ります」
すぐに謝って、もう一度相葉さんに向き直る


「明日も来るから」
「え…」

「お願い、聞いてあげますよ」
“だから食事は食べてくださいね“

手付かずの食事を指差して、相葉さんが呆気に取られたように頷いたのを確認してから
“またね“ と俺は病室を後にした


早足で病院の外に出て
…出たところで、何故か力が抜けてしまった

やたらドキドキする胸を落ち着かせようと外のベンチに何とか腰掛ける

やっぱ俺、おかしい

何でこんなに相葉さんの事考えちゃうんだろう


電話が繋がらないだけで仕事にも身が入らないとか
顔見た瞬間、安堵で泣きたくなるとか
抱き締めた時の相葉さんのぬくもりに安心するとか


……何で、なんかじゃない

気付かないようにしてたんだ
怖かったんだ、認めるのが


ー…相葉さんに惹かれてる、と言う事を


相葉さんは男で、大切な人がいて
そしてそれは俺も同じで

…同性愛に偏見はないけど、自分には絶対に無関係なものだと思ってた

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