飴と鞭と甘いワナ
第12章 4匙め
とは言え、あの暴言の数々はやっぱりかなりダメージを受けていて
このまま1人でいるにはかなりキツイものがあった
相葉さんにお願いしといて良かったかもしれない
…来てくれるかは分からないけど
でも良く考えてみたら
相葉さん、退院後って松葉杖
そんな時にこんなお願い、俺は凄く非常識で自分勝手だ
今になって後悔して “来なくていい“ って言おうとスマホを取り出した
待ち合わせじゃなくて、相葉さんの都合の良い場所に出向けば必ず会える
…そんな狡い気持ちもどこかに持ちながら、電話帳を開いた時
「二宮さん」
松葉杖に体を預け、片手を揚げる相葉さんの姿が目に入った
「相葉さん…ごめん!松葉杖って事すっかり「なに、その顔」」
慌てて駆け寄った俺が謝るより先に、相葉さんが俺の言葉を遮る
「あ…うん、これは…」
咄嗟に隠しても遅い
マスクでも買えば良かった
早く駅に着きたくて、そんな事まで考えてなかった
「…何があったの?」
心配そうな相葉さんの表情と声色
…ダメだ
この優しさに、俺は委ねたくなる
ごめんね相葉さん
自分勝手過ぎて、……本当にごめん