飴と鞭と甘いワナ
第12章 4匙め
相葉さんがすっと手を伸ばし、傷になってる口の端に触れた
「…痛いでしょ」
少し身を屈めて、そこを覗き込む相葉さんの方が痛そうな顔してる
「大丈夫」
触れてる指と、近い顔が恥ずかしくてつい俯いてしまったら
ふわりとその指が頭に乗せられた
前と同じ、子どもをあやすように撫でるから
「子ども扱いしないでください」
つい、その手を振り払うと
「良かった」
いきなり相葉さんがニッと笑った
「え…?」
「二宮さんが落ち込んでるとこは見たくないからさ」
もう一度、くしゃっと髪をかき混ぜた相葉さん
…なんかもう、どうしていいか分からないよ
こんなに、好きになってたの?俺
さっき彼女との全てを終わらせて来たばかりで
…相葉さんに気持ちは伝えないって決めてたはずなのに
今はもう、相葉さんに振り向いて欲しくて堪らない
俺ってこんな奴だったっけ?
「二宮さん」
ふいに名前を呼ばれ、弾かれたように顔を上げると
「…どこか座らない?まだ長時間立ってんのキツイ」
相葉さんが困ったような笑みを浮かべた
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