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飴と鞭と甘いワナ

第12章 4匙め


「二宮さん」
相葉さんが、一つ溜め息をつく

「…とりあえずどこか入らない?いつまでここにいるつもり?」

「あ、…すいません」
呆れたような顔にハッとして、慌てて謝ったら

「だから謝らなくていいって。…近いから、あの店でいい?」
そう言って指差した有名なコーヒーチェーン店

話をするには騒がしくてちょうど良いのかもしれない

だけど

わざわざ相葉さんを呼び出したのは
騒がしい店で退院直後に疲れさせる為じゃない

“行こうか“
器用に松葉杖を使って向きを変えた相葉さんのシャツを思わず掴む

「…二宮さん?」

不思議そうに振り返る相葉さん


ヤバい
顔が熱くなってきた

ただ、静かな場所だからと提案しようと思っただけなのに
俺は何を意識してるんだろう


「他の店がいい?」
相葉さんが掴んで動かない俺に、首を傾げる


当初の話の通り愚痴るだけ
怪我した顔をこれ以上公衆の面前に晒したくないだけ

そう自分に言い聞かせ



「俺の家、来ませんか?」


驚いてる相葉さんの顔が、何故かみるみる赤くなった

何でそんな顔すんだよ


ー…期待させんなよ

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