飴と鞭と甘いワナ
第13章 5匙め
「そんなコト…聞く?」
いきなり俺の胸を両手で押したかと思うとガバと身体を起こして
「しかもそんな声で…狡いよ」
狡い?俺が?声が?
キョトンと見返すとジットリ俺を睨(ね)めつけた二宮さんが
「そんなエロくて…」
は?エロ?
聞き捨てならないから
「エロって…何それ?」
ちょっとキツめの語尾にムゥと口唇を尖らせた彼に
「…貸せ」
手をむんずと掴まれ、それを今度は胸に押しつけられた。
手のひらの下に感じるのは吃驚するくらい激しくドクドクと脈打ってる彼の鼓動。
「相葉さんの声聴くと…」
"……俺いつもこんなになる"
聞こえるか、聞こえないかの小っさな声。
目元の赤みがますます濃くなって
「いつからか、何でなのか分かんないンですけど…」
俺の脇に二宮さんは膝をギュッ抱えて三角座りすると
"………こっち見んな"
おでこを膝頭に当てて顔を隠してしまった。