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飴と鞭と甘いワナ

第13章 5匙め

N side

あーもう
また涙出て来ちゃったよ

何でこんなに涙脆くなるのか分かんない

情けないったらないじゃないか


笑い話にするつもりでいたのに
…でないと自分がキツいから、一緒に笑って貰おうと思ってたのに


「はぁー、本当ダメですね俺」

どうだろ
俺笑えてる?

相葉さん、笑ってくれないかな

一緒に “本当ダサすぎ!“ って吹き出してくれないかな


だけど

相葉さんが小さくため息を吐いてから

「だからさ、無理すんなって」

困り顔で俺を見つめてくるから

「無理なんか…」

“してない“ って言いかけて、その真剣な瞳に何も言えなくなった


「俺さ、二宮さんのそんな顔見たくねぇよ
…泣けよ、思う存分にさ」

ちょっと待って
今、その優しさはダメだって

それでなくたって、さっきのキスも、思わず口に出してしまった数々の言葉も
まだ頭の中で処理しきれてないのに

狡いよ、さっきは泣くなって言ったくせに


「俺で良ければ、全部受け止めるから」
「……っ」


なのに
この一言が、完全に俺の涙腺を破壊してしまった


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