飴と鞭と甘いワナ
第13章 5匙め
だからもう、強がるのは止めた
「ごめん…っ」
そう言って、思いきって相葉さんの胸に飛び込んだ
子どもみたいに泣く俺の背中を、相葉さんの手が擦っている
「俺だって、俺なりに頑張った…っ」
「うん」
「大事にしようと思ってた…」
「うん」
「でも、あいつにも頑張って欲しかったんだ…」
「そうだよね」
そこまで言ってまた泣いて
「会社辞めても次は探してあったのに…っ」
「凄いね、俺だったら探す前に辞めてる」
相葉さんが今度はあやすように背中をトントンする
「ちびでオタクで何が悪い…!」
「それが可愛いのに」
「へ?」
涙でぐちゃぐちゃの顔を思わず上げた
「あ、言っちゃった」
相葉さんが照れたように笑っている
“ふふ、すごい顔“ なんて言いながら自分のシャツで俺の顔を拭いてくれて
独り言みたいに小さく “もう、いっか“ って呟いてから
俺の体をギュッと抱き締めた
「ねぇ、二宮さん」
抱き締められた事に顔が熱くなる
相葉さんの体温にドキドキが止まらない
「…もう、知ってるだろうけど俺も別れてんの」
何となくそうかなとは…思ってた