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第2章 新しい生活
結局、亜矢子ちゃんの勢いに押されて、入部届けを出してしまった。
マネージャーの中のキャプテン的存在、早川瑞季先輩が私たちの担当の選手を言ってきたのは、それから1週間してから。
だいたい、新入生が部活を決めてからだった。
ちなみに、早川先輩はチームキャプテンを担当している。
どうやら2人は付き合っているみたいだけど。
「鮎川さん、」
早川先輩は昼休みに、少し硬い表情で私たちの教室の外から、私を手招きした。
「鮎川さんの担当決まったの。」
「はい。」
「1人は拓海。」
拓海先輩……ハル君と同じクラスの、ちょっとノリの軽い人だ。
いつも周りに綺麗な女の子がたくさんいる。
どうしてそんな人が私を?
「それから鮎川ハル君。あなたのお兄さん。」
「ええっ!?ハル君…すみません……兄が私を指名したのですか?」
信じられない。学校ではあんなに関わるなって言われてるのに。
「あー…ハル君はちょっと違うの。彼、人気ありすぎて、いつも決めるのにモメルのよ。マネージャーの中で女同士の乱闘さわぎになったりして……それで、ハル君からお願いされたの。」
お願い?
「妹でいいですって。それなら、他の女の子も安心するでしょって。妹に手を出すはずないですから。」
ハル君……嘘つきだ……嘘ついて私を指名したってこと?
「私も客観的に見て、あなたたち兄妹がベタベタしてる感じもないし、ちょうどいいかなって思った。」
「はい。」
そりゃ、ハル君は学校では私のことほぼ無視してるもん。
「拓海をあなたに託したのもほぼ同じ理由。拓海も人気があって、選ばれたいって女の子の血みどろの戦いなの。だけど、兄の目が光ってるそばでさすかに、下手なことはしないだから安心してってみんなに伝えるために、あなたにしてもらった。」
そこまで言うと、早川先輩は私の肩に手を置いた。
「マネージャー同士が仲良くしていくために、あなたに頑張って欲しいの。よろしくね。」
こうして、私の新しい生活はスタートを切った。