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「さみしい？」


予想外のことに呆然としていると、南月が真顔で俺に尋ねてきた。


「俺が辞めたら陽介くんさみしいかなー？」


「は？」


「…なんてね」


小さく呟いて、バックルームを出ていく南月の背中がやけに小さい。





寂しそうな顔してんのはお前だよ、
南月。




「…なんてね」



俺も同じような顔してる気がするよ、
南月。


(気づきたくない、認めたくないのに)





この男はきっと、思うままに人の心を奪っていく。


ときに、奪いたくない人の心まで。