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第3章 番外編*店長
「…好きな人?」
少し震えた声で聞き返した俺を無視して、南月は押さえていた俺の右手を優しく退かす。
ふわっと、セットしてない南月の前髪が俺のオデコに当たる。
あの夜の後、俺のベッドに残っていた香水の匂いが鼻を掠めて胸が苦しい。
唇が離れると俺は南月の胸ぐらを掴んで、そのまま至近距離で尋ねた。
「…お前、俺のこと好きなの?」
「そうだよ。知らなかったの?」
計算か、天然か、
意地悪く笑う南月が憎たらしい。
「…可愛いげのないやつ」
(やばい、泣きそう)
「陽介くんは?」
「キモいこと聞くな」
そう言った途端、南月が俺に抱きついてきた。
「好きなんでしょ?知ってるー」
「…ホントに怖いやつだな、お前は」
お構い無しに南月の抱きしめる力が強くなる。
(…マジで)
こんなことあるのか?
この男はいつだって唐突で、
予測不可能だ。
そんな男に毒されて、
俺はもう抜け出せない。
