虞犯少年
第4章 汚くても愛のカタチ
本当にこの人は相手に何をするか分からない。
私なんかのせいで誰かが傷つくのも嫌だ。
「……分かった」
本当は分かってなんかなくて、理解出来なかった。したいとも思わないけど。
だけど頷いて、理解してるフリをするしかない。
小さく握った拳は爪が皮膚に食い込んでジンジンと痛い。
「よし。いいこだ」
子供扱いするみたく頭を撫でるその手があまりにも優しいから勘違いしそうになる。
「明日香。愛してる」
与えられる愛なんてそんなもの、ただの鎖でしかないのに。
汚くても愛のカタチ
(それは偽物でも本物でもない。)