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LIFE

第4章 まだ恋は始まらない〜ぼくにできること〜

「言ってあげりゃーいーのに。」

と大野さん。

なんかちょっと怒ってる?

「ニノんちの事情もあるってわかるけど。」

俺の家は、まあまあ名の知れた企業で。

それなりの相手じゃなきゃダメらしい。

お付き合いも結婚も。

将来、後を継ぐのは兄貴だと思ってるけど。
いや兄貴が継ぐのがベストかもわからない。

世襲制?が続いていくんだろうか。

そもそも先々、俺が会社に入るのは決まってるのか…。

考えるのも確認するのも嫌で、避けて来た。

親や周りに色々言われてる兄貴を見ていてつくづく可哀想に思って、自分に置き換えて嫌気がさした。

「それだけじゃないしね?」

潤くんは苦笑いと意味深な表情を見せる。

「家のこともあるけど。
ニノ、恋愛に消極的?だよね。
ハマるのが怖いとこあるでしょ?」

さすが。

そうなんだよ。

俺、なんだかんだいって怖い。

好きな人に裏切られるとか、大事な人が離れていくとか。

「前に言ってたじゃん。
浮気されてキツかったって。」

「そう。俺、浮気とか…許すとか許さないとか、よくわからない。」

「まあね。」

「でも浮気とか心変わりとかそんなんよくあるし。
今までの相手にしても周りの人達だって。
人の心なんて、わからない。
相手だけじゃなく、自分も。

だから付き合わなくていいと思ってたし軽いのでいいと思うようにしてた。

真剣に人を好きになるのは正直怖いよ。」

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