His←♥→I
第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~
翔「ふふ...」
俺の上にグッタリと覆い被さる翔は、僅かに笑みを零す。
智「な、なんなの...」
混乱していた俺は、熱を吐き出した途端、訳が分からなくなった。
翔「智くん」
未だ苦しい呼吸を抑え、漸く言葉を発した。
なのに、翔は俺の問には答えずキスをしてきた。
そうじゃなくて。今のは何なんだと聞いてるんだ。
翔「あ...、また、汚しちゃったね」
智「え...」
ああ、俺の腹にまた二人分の熱が。
翔「シャワー...の前に、飲み物取ってくるよ。疲れたでしょ」
呼吸も整わないままにぼーっと翔を目で追っていた。
放心しているようにでも見えたんだろう。
まあ、その通りなんだけど。
翔「ちょっと待ってて」
タオルで俺の腹を軽く拭くと、翔はケツを出したままパタパタとリビングに向かった。
翔「いて」
素っ裸でちょろちょろと動き回る翔は、あの小人と重なって見える。
翔「あ~スポイト踏んじゃった」
こんな行為の後はスマートに冷蔵庫に向かうものなのに、少し残念だ。
翔「割っちゃったかな...」
すこぶる喉が乾いてるんだが。
早くしてくれ。
訳がわからなさ過ぎて聞きたい事も盛り沢山だ。
智「ん...?」
ベッドサイドに置かれた栄養ドリンクに目が止まった。
智「取り敢えずこれでいいか」
喉も乾いているが、身体の怠さなんてハンパじゃない。
翔はモタモタしているし、干からびて死んじゃうのは俺かもしれないと、その小瓶に手を伸ばした。
智「ごく...」
...あ?
なんだ? 腕が重い。
智「あれ?」
なんだか瓶が、大きくなった気がする。
ゴト...
大きくなった小瓶は持ちきれなくて、俺の手から滑り落ちた。
その小瓶はコロコロと床を転がり、ある箇所でピタッと止まる。
翔「...智くん?」
やっと翔が戻って来た。
小瓶は、その立ち竦む翔の足にぶつかって止まったようだ。
翔「貴方、まさかコレ」
智「え?」
翔「...飲んだの?」
なんだか翔が見え辛いな。
視界に収まりきらない。
翔「ど、どうしよう」
何故青ざめてる?
そうか、今頃我に帰ったんだな。
全く翔って奴は。
そんな事より早く飲み物を寄越せ。
SO~小人×一般人~進撃の小人編~完~