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第2章 SO~研究員×小人~逆襲の小人編~



俺はついこの間一目惚れというものを経験した。

いや、実際は一目惚れなんかじゃないかも。
だけどあの笑った顔が柔らかくて凄く素敵で。

ふふっと笑うその顔を見ているうちに、いつしか恋をしてしまったんだ。


翔「智くん...?」


そんな焦がれるこの人が。


翔「貴方、まさかこれ」

智「え?」


ベッドにちょこんと座って、俺を見る。


翔「...飲んだの?」


どうしたのと言う感じで目をぱちくりしている。
その姿も堪らなく可愛いけど。


翔「ど、どうしよう」


ペットボトルを持ったまま固まる俺に不審な目を向ける。
眉を潜めて一言、智くんは言い放つ。


智「遅い」

翔「へっ」

智「早く。喉乾いて死にそう」


まだ自分の状況に気付いてないのか。


智「...なにしてんの? 早くってば」

翔「あ、ああ」


恐る恐る智くんに歩み寄る。
距離が近付くにつれて、智くんの瞬きが増える。


智「あれ...」


ゴシゴシと目を擦っている。


智「なんだろ...。なんか、目が」


俺があまりに巨大で、見えにくいんだ。


智「おかしいな…」


目をゴシゴシと擦りながら、もう片手を俺に差し出す。
早くくれと、催促してる。


翔「持てる...?」

智「は? 何言って...」


ぷるぷると震える手で智くんにペットボトルを渡した。


智「...うわっ」


ペットボトルは智くんの手を掠めて、ベッドに落ちた。
跳ねたペットボトルは、床にゴロゴロと転がってしまった。


智「え...」

翔「智くん...」


智くんが固まった。
固まって床で転がるペットボトルを目で追っている。


智「 ちょっと、俺の手、握って...」

翔「うん...」


智くんの手に触れる。
それはパーではなくて、人差し指を出して。


智「なんで、翔くん大きくなっちゃったの...」

翔「いや、俺じゃなくて...」


むにむにと俺の人差し指を握り、智くんは俺を見上げた。


智「翔くんじゃなくて...?」


まるで状況を飲み込めていなさそうだ。


智「え...、俺...?」


小さくなってしまった智くんは俺の指を一生懸命握る。

握って、目を丸くして俺を見上げるんだ。


不謹慎だとは思ったけど、その姿が可愛すぎてうっかり見とれてしまった。






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