じんちょうげの花咲く頃
第2章 恋文
「意地をはるお前のお母さんにも苛立っていた。子供が可愛くないのか、って。」
こんなことになるなら、意地でも連れ戻しておくべきだった、と、
叔父さんは、涙を隠すみたいに天を仰ぎ見た。
「それで、今、お父さんはどうしているんですか?」
「あ…ああ、例の南の島で、自由気ままに生活しているよ?」
「あの…女の人と…ですか?」
「女の人?」
「僕が小さい頃、父さんのところに行くんだ、って、綺麗な女の人が母さんに会いに来てたみたいなんです。」
「そう…だったのか。」
急に口ごもってしまう叔父さんに、
お父さんは、その人と一緒にいるのだ、と確信した。
「結婚したんですよね?その人と?」
「いや…」
「でも、一緒に…」
「結婚はしていない。」
「どうして?」
「分からない。」
「二人の間に子供とかは…?」
「…いないんだよ。」
「あの…どういうこと?」
「だから、言ったんだよ、これからもそんな中途半端な生活続けるつもりなら、二人のところに戻って、一から出直せ、って?」
でも、お父さんは、それでも動かなかった。
そんなあなただから僕は、
お父さん、会って話してみたいんだ。
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