じんちょうげの花咲く頃
第2章 恋文
葬儀一切を終え、
茶の間の隅に作られた簡単な祭壇に、母さんの写真と骨壺を置いた。
その写真に向かって、手を合わせるめぐむちゃん。
叔母さんは、
その背中を悲しそうに見つめていた。
俯き、手を合わせていためぐむちゃんが顔をあげるのと同時に、
叔母さんが僕に話しかけてきた。
「主人から聞いたんだけど、お父さんに会いたい、って言ったそうね?」
「はい。」
「それは…どうして?」
「え?どうして、って…僕のお父さんだし、それに、色々話してみたい、と思って…」
「話……」
「それがなにか?」
「いえね?もしかしたら、お父さんのところに行きたいのかな?って?」
「まさか。今のところまだそんなつもり、ありませんよ?」
「そう…」
「零ちゃん、海外行っちゃうの?」
さっきまで背中を向けていためぐむちゃんが話に割り込んでくる。
「ううん。そうじゃなくて、海外にいる父さんとどうしたら話が出来るのかな?って、叔父さんに相談してるんだ。」
「パパに?」
「うん。」
「零くんが向こうに行くことになるかもしれないわね?」
「ママ、叔父様はどうして帰ってこないの?」
ため息をつくと、叔母さんはめぐむちゃんに笑いかけた。
「さあ…?どうしてかしらね?」
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