じんちょうげの花咲く頃
第4章 新しい季節へ…
「お…叔父さん?」
「ど…どうして?」
勢いよく開け放たれた戸口に目をやると、
仁王立ちする汗だくの叔父さんの姿があった。
「澪、ちょっと…」
叔父さんは、まるで気持ちを落ち着かせるように息を飲み込むと、
叔母さんの腕を乱暴に掴んだ。
「ちょっと、痛い!!やめて!」
有無を言わさず叔母さんを無理矢理立たせ、そのまま引き摺ってゆこうとする叔父さんを見ためぐむちゃんが声を張り上げた。
「パパ、やめて!!ママに乱暴しないで!!」
でも、叔父さんは、二人の声なんて聞こえていないかのように、叔母さんの手を引き離れから出ていってしまった。
突然のことで呆然としていた僕ははっと我に返り、三人の後を追いかけると、
激しく言い争う叔父さんと叔母さん、
その二人のそばでおろおろするめぐむちゃんが今まさに母屋に入っていこうとしていた。
「叔父さん、待って!!」
慌てて外へ飛び出し呼び止めるも、
三人とも、そのまま母屋の中に消えていった。
どうしよう?僕のせいで…。
叔父さんと叔母さんが…。
自分が出ていったところでどうにか出来るなんて思っていたワケじゃなかったけど、
三人の後を追うように僕は母屋の中に足を踏み入れた。
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