じんちょうげの花咲く頃
第4章 新しい季節へ…
「めぐむ…」
「だから…パパもママも、もうケンカしないで。」
めぐむちゃんは大きな目から涙をぽろぽろと流しながら俯く。
そんなめぐむちゃんの肩を抱きながら、おばあちゃんは奥へと消えていった。
二人の後ろ姿を見送りながら、叔父さんは髪を掻き上げながら大きく息を吐いた。
「ったく…娘が可愛くないわけないだろう?」
徐に、ポケットから取り出したハンカチで顔を拭った。
「だから、と言って、いつまでも甘やかすのもよくない、って言ってるだけじゃないの!」
「…俺たちが好き勝手してきた、ってのに、か?」
「え?私たちが?いつ?」
「本当は、俺とお前は…」
「もう、いい加減にしてください!!」
あんなめぐむちゃんの姿を見てしまったら、
二人の言い争いなんて、とても聞いちゃいられない。
「れ、零…」
「零くん…」
大人しい僕が声を荒げるなんて思いもしなかったんだろう。
二人は僕を見つめたまま固まっていた。
「二人とも、もう…いい加減にして…」
僕の目からも、熱いものが溢れ落ちそうになって、
唇を真一文字に結び天を仰ぐと、二人に目線を固定した。
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